炭素繊維

炭素繊維は、出発原料の違いにより、PAN系とピッチ系に大きく分けれら、PAN系が生産量の95%以上を占めると言われている。PAN系炭素繊維は、特殊なアクリル繊維(Polyacrylonitrile)を原料に、これを焼成して製造する、炭素含有率が90%以上の繊維のこと。一方、コールタールピッチや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維は、紡糸に供するピッチの結晶状態により、メソフェーズピッチ系と等方性ピッチ系に分類される。メソフェーズピッチは構成分子が液晶状態となって配向しており、偏光顕微鏡で観察すると光学的に異方性を示す。等方性ピッチは構成分子がランダムに配向しており、光学的には等方性である。

自動車部品への応用は、一部高級車の車体や、部品(プロペラシャフト、ブレーキ、空力パーツ等)に留まっているが、製造方法の最適化によるコスト低減により、その特性(軽量、高強度)から、広範囲での適用が期待されている。